クライマックスシーンがミュージカルナンバーじゃないなんてあり?

      2016/04/02

演出の話が続きます。

前回も触れたクライマックス部分であるデイヴィス家でのピータパン上演シーン “Neverland”(Reprise) 、これが正当なミュージカルナンバーではなく劇中劇なのです。
もちろん劇中劇が存在するミュージカルはたくさんあります。
見たことがある作品では、Matilda, King and I, The Book of Moromon あたりが思い浮かびます。
ですが、Matildaの劇中劇は完全にサイドストーリー、King and Iはかなり大掛かりで重要なシーンですがクライマックスはその後の”Shall We Dance?”、The Book of Mormonの”Joseph Smith American Moses” は劇中劇でありながらミュージカルナンバーでもあり、さらにクライマックスはその後の”Tomorrow is a Latter Day”です。
一方、Finding Neverlandのクライマックスはあきらかにこの”Neverland”(Reprise) であり、この後のナンバーは”Finale” のみです。(ここも感動的ですが後日談的内容ですから)
この”Neverland”(Reprise) はクライマックスとして十分にみごたえがあるシーンではありますが、正直ミュージカルナンバーとは言いがたい。
このあたりもミュージカルとしてどうなんだ?と思われる原因でしょう。

全体的に地味な演出の舞台ですが、最後に一つ大技が繰り出されます。
(そういえばMary Poppinsにもラストにフライングという大技がありますね)
デイヴィス家でのピーターパン上演場面のラスト、シルヴィアの死を暗示させるシーンです。
ここは初見時に本当に感動した演出で、この舞台を評価する多くの人達にも深く印象に残っているシーンです。
再見して感じたのは、そこまでの演出が抑え気味だったことによって、ここで受ける衝撃がより際立つということ!
ただ、このシーンはなんというかテーマパークのアトラクション的な演出で、これも評価が割れる一因なのでしょう。
おまけに初見時のインパクトは絶大だけど、リピートしたくなるような中毒性はないと思われますし。
このシーンはやはり最大の売りみたいで、劇場の看板(上の写真)にも”BREATHTAKING, PIXIE-DUSTED PERFECTION.”と誇らしげに書かれています。
さらに写真やトレイラーなどでも映像が出ているのですが、正直この宣伝方針は疑問です。
ここは徹底的に隠して欲しかった。
もちろん見た人の口コミなどでネタバレしますが、映像としては未見で劇場に行った方が絶対に劇場体験としてより強いインパクトを与えることができる。
むしろネットの感想の方が直接的な表現を避けるように気を使ったものばかりですよ。(少なくとも日本語の感想はそう)
そこは非常に残念です。

 - Finding Neverland, Musical