&Juliet
2022/12/06
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2019年秋にWEで開幕した作品のBWトランスファー。いわゆるJUKEBOXミュージカルなのだが、ここ何年もBWで流行っているアーティストの伝記系ではなく、オリジナルのストーリーに様々なアーティストのヒット曲を当てはめていく最近だとMoulin Rouge!タイプの作品で個人的にも伝記系よりこちらのほうが好みである。ネットで見かけるWE版の評判が良かったので楽しみにしていたのだが…JUKEBOXミュージカルであるにもかかわらず曲が全然分からない!が最初の衝撃w 結局”Teenage Dream” 1曲しか認識できなかった。(これもGlee経由で知っていただけ)洋楽を好んで聞いてこなかったのは確かなんだけど流石にショックを受けた。まあ作品がターゲットとしている層に属していないという自分の問題なんだけどさ。これがMoulin Rouge!だと半分以上は知ってる曲で、あちらは80,90年代の曲も入れてより幅広い年代から曲を集めている。一方&JulietはMax Martinという一人のソングライターの曲から構成されているようで、年代で言うと2000年代、2010年代のヒットソングということになるようだ。&JulietはWE産だが、BWもWEも客層の最大ボリュームゾーンは40,50代だと言われている。(日本もそうだが)特にBWのチケットは高額なのでなかなか若い世代には手が出ないということのようだ。1曲しか知らなかった自分の例は極端だとは思うが、先に例に上げたMoulin Rouge!だとより幅広い年代層にアピールできるように選曲しているので、&JulietはBWの主たる客層を大きく外しかねない思い切った作りになっていると言えそうだ。
曲は全然知らなかったが作品自体はとても楽しめた。シェイクスピアのロミオとジュリエットのラストで仮にジュリエットが死を選ばなかったとしたらその後の彼女はどういうふうに生きていくのか?という物語で、最初にシェイクスピアと妻であるアン・ハサウェイが登場し、アンが夫であるシェイクスピアに色々意見を言いながら2人でジュリエットのその後の物語をかきあげていくという展開で、アンは自分自身をエイプリルというジュリエットの親友として物語に登場させてジュリエットと行動を共にする。後にシェイクスピアも自身を物語の中に登場させて物語を自身の望む方向に持っていこうとするが、ジュリエットや他の劇中の登場人物はアンやシェイクスピアの思い通りに行動するわけではなく…というちょっと入り組んだ二重構造になっているのがおもしろい。基本的には明るいコメディタッチなんだけどジュリエットが自分の意思を持って人生を生きていくという流れの中で、ジュリエットの親友や新しい婚約者のジェンダー問題、シェイクスピア夫婦の問題など現代的なテーマが絶妙なバランスで織り交ぜられていると感じた。ネタバレ気味だがジュリエットの成長が表のテーマ、そしてアンの思いが裏のテーマとして次第に明らかになっていく流れはとてもよくできている。
楽曲はアップテンポでノリがいいナンバーも多くアンサンブルキャストの群舞も見応えがある。とにかくエンタメとシリアスのバランスがちょうどよくて心地よい。JUKEBOXミュージカルでありながら比較的新しい楽曲に絞った選曲、ロミオとジュリエットという古典を元ネタとしながらも古い価値観はアップデートしていこう!という物語、テーマにすえた主張はあるがエンタメメインでとにかく楽しい仕上がりになっていること、ミュージカル業界が求める今後につながる若い新しい観客を開拓しうる作品だと感じた。(とはいえ年齢高めのミューオタにもオススメですw)
- 実はロミオも再登場する(キャストボードで容易に予想できるのでネタバレじゃないと思う)
- そして&Juliteというタイトルに込められたもう一つの意味がバックにある名前のセットで視覚的に演出されるのが面白い
- 観客層として若い世代を狙う意図が先にあって新しめの楽曲に絞って選曲したのか、Max Martinの楽曲のみで制作するからその世代に向けた物語に仕上げたのか…まあ後者なんだろうな。前者なら一人のコンポーザーの曲に限定する必要ないし。
- 全然曲を知らないとはいえ、2幕に入って流石にバックストリート・ボーイズがネタにされているのは気付いたw 要は若い頃は必ずしも好みじゃなくてもヒット曲はある程度耳に残ったけど、だんだんたまたま聞こえてくるだけで好みじゃない音楽は覚えられなくなっていったというわけで…
- 衣装や小道具で本来のロミオとジュリエットでは時代的に存在しないアイテム(例えばスニーカーやスマホ)を利用することで物語のアップデート感をうまくサポートしていると感じた
- カテコのキャスト挨拶でバックに映像で”Juliet”, “Romeo” など登場人物名を流す演出が面白い(どこかで見たことあるような気もするが)
- 隣に座っていた中学生ぐらいの女の子(座高を上げるクッションを使っていたのでもしかしたら小学生かも)が終始バカウケでノリノリだったことも、やっぱり若い子向けの作品なんだなーと強く感じさせた。
- アン役のBetsy Wolfeがとても良かった!が、この人何度も見ているのになかなか覚えられず、またもや「あー見たことある気がする!」と思い出せなかったw