トニー賞2022予想！
1週間後に迫ったトニー賞授賞式。先週見てきた作品の感想もなんとか全部書いたので、この勢いで予想もしておきます。このためにわざわざ授賞式前に見に行っているわけだしｗ
まずミュージカル部門のノミネート対象作品は、新作がDiana,Flying Over Sunset, Girl From the North Country, MJ, Mr. Saturday Night, Mrs. Doubtfire, Paradise Square, Six, A Strange Loop, の9本、再演がCaroline, or Change, Company, Funny Girl, Music Man の4本で計13本。各作品のノミネーション数は以下の通り。ちなみにWest Side Storyのリバイバルは作品を見たVorer（投票券を持つ人）が少なすぎるということで対象外。
A Strange Loop 11
MJ 10
Paradise Square 10（助演男優賞に2人で9部門）
Company 9（助演女優賞に2人で8部門）
Six 8
Girl from the North Country 7
The Music Man 6
Mr Saturday Night 5
Flying Over Sunset 4
Caroline or Change 3
Funny Girl 1
Mrs Doubtfire 1
Diana 1
ノミネート対象13作品は全ていずれかの部門でノミネートされている。
この中で3本、Flying Over SunsetとCaroline, or Changeは既にクローズ済、Mr. Saturday NightはTKTSでチケット買ったあとに主演がPCR陽性判明のため公演キャンセルとなり見られなかった。もっとも枠の問題でもともと全部見るのは不可能だった。DianaはNetflixの収録版を見ていてBWでは見ていない。実はノミネート発表後にBWに行ったにも関わらずノミネート内容を全く把握しておらず（渡米自体の準備に時間を取られたりで余裕がなかった）、これからリストを確認するので意識して見ていたわけじゃない。もしかすると役者に関してはアンダーを見ている可能性もあるｗ
以下、予想★と希望●です。（ミュージカルのみ）
Best New Musical
“Girl From the North Country”
“MJ”
“Mr. Saturday Night”
“Paradise Square” ●
“Six: The Musical”
“A Strange Loop” ★
”Girl from the North Country”と”Six”は、これはミュージカルと言っていいのか？という気がする。少なくとも変化球であることは間違いない。だから受賞がないというわけでもないが、ネットの雰囲気を見ていると”A Strange Loop”かなという感じではある。トニー賞受けしそうだし。あと意外にも”MJ”の評価が高いようだが作品賞は流石にないとおもう。“Mr. Saturday Night”は見ていないが映画原作のコメディだからできが良くても受賞はないだろう。個人的には“Paradise Square”押し。これもトニー賞好みの作品だと思うのだが”A Strange Loop”が内容構成共に斬新なのに対して、“Paradise Square”は新しさはあまり感じないので”A Strange Loop”に軍配が上がりそう。
Best Musical Revival
“Caroline, or Change”
“Company” ★●
“The Music Man”
まず”Funny Girl”が入ってないの酷くない？受賞はともかくハブられるほどできが悪いとは思えなかったのだが。“Caroline, or Change”は見ていないが、亡くなったばかりのソンドハイムが改変にも関わった“Company”で決まりじゃないかな。元のテーマを男女逆転させてみせるという仕掛けもいかにもトニー賞受けしそう。演出もとても良かったので個人的にも“Company”が受賞で文句なし。“The Music Man”も良かったけど受賞はしなくてもよいかな。
Best Book of a Musical
Christina Anderson, Craig Lucas and Larry Kirwan, “Paradise Square”
Billy Crystal, Lowell Ganz and Babaloo Mandel, “Mr. Saturday Night”
Michael R. Jackson, “A Strange Loop” ★●
Conor McPherson, “Girl From the North Country”
Lynn Nottage, “MJ”
ここも“A Strange Loop”かな。全然内容理解できていないのに自分の押しも“A Strange Loop”なのはどうかと思うがｗメインの登場人物が主人公とその脳内人格だけという作品がオンBWに上がって来て絶賛されているという状況はちょっとすごい。もしかしたら“Paradise Square”もワンチャンあるのかもしれない。題材はトニー賞好みだし。
Best Original Score
“Flying Over Sunset,” music by Tom Kitt; lyrics by Michael Korie
“Mr. Saturday Night,” music by Jason Robert Brown; lyrics by Amanda Green
“Paradise Square,” music by Jason Howland and Larry Kirwan; lyrics by Nathan Tysen and Masi Asare
“Six: The Musical,” music and lyrics: Toby Marlow and Lucy Moss ●
“A Strange Loop,” music and lyrics: Michael R. Jackson ★
“Flying Over Sunset”はキャストアルバムが出ているので聞くことができたが、“Mr. Saturday Night”はキャストアルバムはまだで見逃したので聞けていないという状況だが、この2つはないと思う。“A Strange Loop”はオフBW版のキャストアルバムが出ていてそれと劇場の印象では楽曲については他に比べて突出しているわけではないと感じるが、勢いのある作品なので持っていきそう。自分の好みとしては“Paradise Square”と迷ったが”Six”にした。”Six”は楽曲の強さが大きな売りの一つだと思う。
Best Direction of a Musical
Stephen Brackett, “A Strange Loop” ★
Marianne Elliott, “Company” ●
Conor McPherson, “Girl From the North Country”
Lucy Moss and Jamie Armitage, “Six: The Musical”
Christopher Wheeldon, “MJ”
ここも“A Strange Loop”だろうか。ただ“A Strange Loop”の新しさは演出よりも脚本によるところが大きい気もするので、演出のインパクトは“Company”の方が上かもしれない。私は“Company”の演出が大好きなので。あと”Six”もストーリーがほぼなくコンサート形式で披露していく歌がキャラソンというのはインパクト大で捨てがたい。
Best Leading Actor in a Musical
Billy Crystal, “Mr. Saturday Night”
Myles Frost, “MJ”
Hugh Jackman, “The Music Man” ★
Rob McClure, “Mrs. Doubtfire” ●
Jaquel Spivey, “A Strange Loop”
ここは悩む。勢いで“A Strange Loop”のJaquel Spiveyかスターパワー&忖度ｗでHugh Jackmanか。実際Jaquel Spiveyは作品を引っ張る演技で受賞に値すると思うがまだ新人なので、再開後も回復しきってないBWに客を呼び込んでいるHugh Jackmanに感謝…という感じ？ｗ でも作品賞を取って主演男優を逃すってのもなあ…難しい。でも”Music Man”の作品賞はないからやっぱり主演男優賞はHugh Jackmanで。受賞がないのはわかっているけど個人的には”Mrs. Doubtfire”の熱演でRob McClureにあげたい。
Best Leading Actress in a Musical
Sharon D Clarke, “Caroline, or Change”
Carmen Cusack, “Flying Over Sunset”
Sutton Foster, “The Music Man”
Joaquina Kalukango, “Paradise Square”★●
Mare Winningham, “Girl From the North Country”
見てない“Caroline, or Change”の評価がとても高いのだが、ここは “Paradise Square”のJoaquina Kalukangoで間違いないのではないか。そのぐらい彼女の曲”Let it burn”は圧倒的だった。今回Sutton FosterはHugh Jackmanの添え物なのでｗ とはいえHugh Jackmanの横に並び立つ存在感を発揮できるのは彼女だからこそだと思う。ただ受賞はない。あとここにKatrina Lenkが入っていないのが”Company”の画竜点睛を欠くというか…彼女はBand’s Visitで受賞しているのに今回はノミネートもされないなんてそんなに役にあってなかったかな？
Best Featured Actor in a Musical
Matt Doyle, “Company”★●
Sidney DuPont, “Paradise Square”
Jared Grimes, “Funny Girl”
John-Andrew Morrison, “A Strange Loop”
A.J. Shively, “Paradise Square”
“Company”のMatt Doyleで決まり。”Padadise Square”の2人はどっちも甲乙つけがたいし、そもそもこの2人がノミネートされるならChilina Kennedyも女優部門で（主演助演のどっちでもいいけど）ノミネートされるべきでは？と思う。“Funny Girl”のJared Grimesは主人公の幼馴染的な友人か…タップが良かった。“A Strange Loop”のJohn-Andrew Morrisonはラストの母親役の人ね…これはCompanyがなければありえたかもしれない。Matt Doyleが演じたJamy（もとはAmy）という役は今回のCompanyの中で主人公と並んで男女逆転したことで大きな意味が生まれたキャラクターで、ある意味美味しい役になっていた。そのぐらいMatt Doyleの歌うGetting Married Todayはインパクトが強かった。
Best Featured Actress in a Musical
Jeannette Bayardelle, “Girl From the North Country”
Shoshana Bean, “Mr. Saturday Night”
Jayne Houdyshell, “The Music Man”
L Morgan Lee, “A Strange Loop”
Patti LuPone, “Company”★●
Jennifer Simard, “Company”
Jeannette Bayardelleは“Girl From the North Country”は全然理解できなかったので評価不能ｗ 確か持ち歌がとても上手かった記憶。“The Music Man”のJayne Houdyshellは市長の奥さんで…あまり印象に残っていないなｗ “A Strange Loop”のL Morgan Leeはキャストで唯一女性の人だから…思い出したけど無さそう。”Company”のJennifer Simardは空手の奥さんね。彼女はとても面白かったｗ 彼女でもいいと思うけどPatti LuPoneだろうなあ。持ち歌のThe Ladies Who Lunchでは軽めのショーストップ状態で流石の貫禄だった。
Best Scenic Design of a Musical
Beowulf Boritt and 59 Productions, “Flying Over Sunset”
Bunny Christie, “Company”★●
Arnulfo Maldonado, “A Strange Loop”
Derek McLane and Peter Nigrini, “MJ”
Allen Moyer, “Paradise Square”
見てない“Flying Over Sunset”は分からないがクローズ済みの作品は殆ど受賞しないので外して、残りを見ると…”Company”じゃないかなあ。感想にも書いたが”Company”のセットはリアルというよりは抽象的な雰囲気でかなり凝っていた。他は割と普通だった印象。そんなに特徴無かったが勢いで“A Strange Loop”もありそう。
Best Costume Design of a Musical
Fly Davis, “Caroline, or Change”
Toni-Leslie James, “Paradise Square”
William Ivey Long, “Diana, the Musical”
Santo Loquasto, “The Music Man”★●
Gabriella Slade, “Six: The Musical”
Paul Tazewell, “MJ”
衣装は豪華な“The Music Man”あたり？ここはわざわざこれだけノミネートされているDianaでもいのかも知れないが… Sixは衣装チェンジもほぼ無いし、他はなんとなく地味だからなあ。
Best Lighting Design of a Musical
Neil Austin, “Company”★●
Tim Deiling, “Six: The Musical”
Donald Holder, “Paradise Square”
Natasha Katz, “MJ”
Bradley King, “Flying Over Sunset”
Jen Schriever, “A Strange Loop”
照明も”Company”だなあ。ネオンサインをモチーフに取り入れたセットデザインに合わせた色使いが印象的だった。もしくは”A Strange Loop”、でもやっぱり”Company”でしょう。
Best Sound Design of a Musical
Simon Baker, “Girl From the North Country”
Ian Dickinson for Autograph, “Company”
Paul Gatehouse, “Six: The Musical”
Drew Levy, “A Strange Loop”
Gareth Owen, “MJ”★●
音響は”MJ”じゃないかな。”MJ”の音はすごく良かったと思う。”Six”がノミネートされているけど、”Six”は唯一音だけが不満だった。バンドの音が軽いというかチャチというか…それに比べて”MJ”はものすごく重厚で迫力ある音を出していた。ライブ形式である”Six”にこそあの音圧が欲しかった。（音量ではない）
Best Choreography
Camille A. Brown, “For Colored Girls Who Have Considered Suicide/ When the Rainbow Is Enuf”
Warren Carlyle, “The Music Man”★●
Carrie-Anne Ingrouille, “Six: The Musical”
Bill T. Jones, “Paradise Square”
Christopher Wheeldon, “MJ”
一番上はストレートプレイだけどストプレの振付はノミネート止まりのはず。残りの4つの内”Six”以外の3作品が群舞がウリになるタイプの作品なのでここから選ばれるとして、個人的には”Paradise Square”も押したいのだが、”Music Man”だろうか。Winter Gardenという大きな劇場で子役も含めて約40人の大所帯が見せる群舞はとても楽しいものだった。あと”MJ” の群舞も良かったんだよね。ただ”MJ”はアンサンブルキャストが凄かったのは間違いないのだが、振付が良かったのかと言われるとよく分からない。他もそうだけど振付は特に好みでしか判断できないので、”MJ”の振付になにか特筆すべき所があるのなら”MJ”かも知れない。
Best Orchestrations
David Cullen, “Company” ●
Tom Curran, “Six: The Musical”
Simon Hale, “Girl From the North Country”
Jason Michael Webb and David Holcenberg, “MJ”★
Charlie Rosen, “A Strange Loop”
2F建ての舞台の上からアコースティックな楽器の音が降りそそぐ”Company”がとても心地よかったので、オケに力が入っていることは間違いないのだが、”MJ”もいい音していたんだよね。当然シンセなど電子楽器がメインなので、アンプ直結で一定のクオリティが簡単に得られそうな気がするのだが、そうでもないのか安っぽい音にならないようにするのは実は難しいことなのかもしれないと他の劇場ではよく考えさせられるので、”MJ”の音には感心した。その違いは音響なのかオーケストレーションなのか、どちらも影響してそうではあるが。
3月末でワクチン3回接種者は帰国時に入国した空港から公共交通機関での帰宅が可能になったのと自宅隔離も無くなったため、2年半ぶりのBWで今シーズンの新作9本を見た状態でトニー賞を迎えられることになったのは本当にうれしい。正直諦めていた。
基本的には新作は”A Strange Loop”、リバイバルは”Company”の年になるのだと思う。あとは”Paradise Square”と”MJ”がどこまで絡めるか？が興味深い。”Six”はほとんどとらないと思うが… あとは各作品のパフォーマンスがどの曲になるのかも楽しみ。例年予想するだけで投げっぱなしだけど、今回は授賞式後に振り返りもしたい。（ほんとかよw）
