Bad Cinderella

   

Andrew Lloyd Webber の新作 Bad Cinderella
クローズ間近のオペラ座の怪人はいまプレミアムチケット化しているが(一応ロトに応募してますが現在のところ2連敗)、こちらはTKTSにも半額で出ている。評判もあまり良くないようで、そんなにひどいの?とちょい心配だったが結構楽しかった。まあ期待値が低かったせいもあるかもw

ロンドンのWEでは単にCinderellaというタイトルだったが、BWでは “BAD” Cinderella に改題された。有名なディズニー版シンデレラのイメージで見に行くと、びっくりするぐらい内容が違うからか?もともとシンデレラが登場時に歌う曲が”Bad Cinderella”なのでWE版から大きく内容が変わったわけではなさそうだが…

シンデレラは義母どころか村の住人からも嫌われており、シンデレラ自身も村から出ていきたいと思っているが、幼馴染であるプリンス・セバスチャンのことが好きなのでかろうじて村にとどまっているのだが……あれ?プリンスの名前はチャーミングでは?と思った人、そこから違うのです。プリンス・チャーミングはドラゴンとの戦いですでに亡くなっていて、その弟であるセバスチャンが王位を継承することとなり、彼の花嫁を選ぶために舞踏会が開催されるのだ。という風に序盤から結構違うので、心配な方はネタバレにはなるけどWIKIのあらすじに目を通しておくと良いかも。時間がなければGOOGLE翻訳でもそれなりに読めます。私も読んでいったw

基本的にはコメディで、重要人物がゲイであることをカミング・アウトしたり、その彼が同性婚することを親が受け入れたりと今風な要素を取り入れているが、かなり下世話に受けを狙ってくるのでALW作品を期待していくと受け付けない人もいそう。個人的にはALWは何でもできるがゆえにいつまでも第一線でヒットを出し続けたいというのがモチベーションな人で、それこそが彼のすごいところだと思っている。だから違和感なくこの作品も受け入れられる。だってMatildaの大ヒットを受けて子役メインのSchool of Rockを作ったりする方だから。妄想かもしれないけどw
でもミュージカル界のレジェンドであるにもかかわらず、今更映画原作の作品を作って更にラストの曲は自身のオリジナルではなく映画の曲”Teacher’s Pet”を残してるんだよ。どうしてもレジェンドがやらなきゃならない仕事とは思えない。想定観客の年齢層も自身の他作品のファンよりはかなり低めの設定だし。ある意味大人気ないというか負けず嫌いというか…サーのそんなところが作品以上に大好きですw

では今作”Bad Cinderella”は何に張り合っているのかというと、おそらく”&Juliet”ではないだろうか。先に観劇された方から”&Juliet”を意識しているんじゃないか?という話を聞いていたけど、確かにそう思わせるところは多かった。シンデレラの恋愛描写もプリンスに見初められるだけの受け身進行ではないし、サブキャラの恋愛は同性愛でかつ結婚まで描写される。村人たちもプリンスを盲目的に崇拝しているわけじゃなく、ダサいけど玉の輿狙いで妥協…みたいに描かれている。さらにその村人の衣装や色使いが”&Juliet”と結構被っているのだ。”&Juliet”が2019年トライアウトから同年中にWE公演二移行しているのに対して、”Bad Cinderella”は2019年のワークショップから2021年にWE公演、企画スタート自体が”&Juliet”のヒット受けたものではないのだろうが、企画内容が影響を受けた可能性は高いのでは?

作品が持つメッセージ性や脚本の持つ力やエンタメ性との両立は”&Juliet”が1枚上手で、”Bad Cinderella”は後で考察したくなるような要素は薄いけど、劇場で楽しく笑ってスカッとできればOKなら見て損はないはず。

$30のラッシュ席E13
  • TKTS半額だし$30のラッシュチケットもオンラインとBOX OFFICEの2種類あって入手しやすいはず。テレチャージのオンラインロトもあるよ
  • ラッシュ席はパーシャルビューの表記があったが、盆でセットが回るからかほとんど気にならなかった
  • 2幕冒頭で右サイドに女王、左サイドにプリンス・セバスチャンが登場し、しばらく滞在する。左サイドの席だったのでセバスチャンを見つめていたら、手を振ってくれたw
    あと左サイドの通路はシンデレラも通って案外お得だった
  • とにかく脇のキャラが濃いので、シンデレラとプリンス・セバスチャンのメインカップルが見劣りする
  • 更にメインカップルを比べてもプリンス・セバスチャンの方が盛り上がるシーンがある気がして主役のシンデレラが一番地味というかw
  • とにかく女王役のGrace McLeanが怪演というかインパクト大。彼女を見れただけでも$30以上の価値があった。
  • そして継母のCarolee CarmelloはFinding Neverland, オフBW版Sweeney Todd, 1776に続いて4度目の対面。今回も素晴らしい演技で女王との絡みが面白いんだけど、女王を立ててちょっとおさえているのでは…?と思ったりもした。
  • 更に2幕に登場するプリンス・チャーミングのCameron Loyalという方が凄かった。スーパーマッチョでかつ歌声も素晴らしくて!
  • Man’s man(多分男の中の男って意味かな)という曲があるのだが、劇中ではマッチョでなければ男じゃないという価値観で、お城の若い男性が上半身の筋肉の筋肉を見せつけるシーンが多すぎw
  • 去年見たAndrew Lloyd Webberコンサート アンマスクドでもBad Cinderellaが歌われていたので、間違いなく売り込みがあるはずだが四季がこの作品を上演している様子が想像できない。いや四季に限らず日本のミュージカル界であんなにマッチョ歌上手を揃えられるのだろうか。武田真治だけでは?w
  • と思ったけど、きんにくんが起用されるのかもw
  • サーには押し売りでもなんでもいいから、ぜひとも日本上演を実現させていただきたいw

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