Wicked

      2017/02/11

香港でUKツアーキャストによるWickedを見てきました。BW,WE,四季の順で1回ずつ見ていますが、最後に四季で見たのも2014年で久しぶりの観劇でした。
Wickedはかなり上位ランクで好きなミュージカルなんですが、BWではどうしても新作優先なので、ツアーとはいえ近くで見られるのはありがたい!BW枠を消費しなくてもすむからね。

まず、これまでに見た常設劇場とツアーの違いから(覚えている範囲ですが)

  • 舞台上部のドラゴンがフライングモンキーによるロープ操作ではなく自動稼働。
  • 出演者の人数が少ない。カテコでDr.ディラモンドが登場しないので(アンサンブル担当と思われる)間違いないはず。
  • とはいえ、人数減が気になるってほどではない。劇中は少ないような気もするけど…的印象で、前述のDr.ディラモンドの件でようやく確信したぐらい。カテコで数えると24名でした。YouTubeでBWのカテコ動画で数えて見るとオリジナルキャスト時は30名、いつのかわからないけど26名のもあった。
  • オケピットで椅子の数を数えるとオケの人数は15名、ここは役者に比べるとだいぶ減らされている。弦楽器がキーボードに置き換えられているし(4台もあった)、ハープ(これも分かりやすい楽器)がないのも残念。といっても空オケよりは断然いいけどね。

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  • セットの簡略化は殆ど無いんじゃないかな?(と思う…自信はない) 少なくとも予算カットがあからさまに目立つようなことはない。
    むしろツアーでこれだけのセットを使っているのはすごい。Wickedは衣装も多いしね。

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  • そのためか、この後に香港に来るWest Side Storyよりもチケットが高い。(SS,S相当の席はHKD200高かった)
    しかしツアーでもあからさまなコストカットをせず、これだけの規模を維持してくれるのであれば仕方ない。むしろチケット価格に合わせてスケールダウンしないでくれたことに感謝!
  • One Short Dayの着ぐるみが2体しかいない。(動画はこのツアーのシンガポール公演)

  • 舞台が狭い。(これは劇場に依存するから場所によるかも) BWのGershwinはかなり大きなステージだったから、比べるとそこはスケールダウン。

Wickedは豪華なセット、きらびやかな衣装といった物量で押すミュージカル。もちろんストーリーや楽曲も素晴らしいけど、セットや衣装で手を抜かれると魅力激減のはず。
それも含めてWickedには大劇場というか大きなステージが似合うと思うのですが、今回見た劇場は舞台がそれほど広くなくその点は残念。
シアターオーブは大きな劇場でステージ上も広々としていますが、Wickedは来日できないからねぇ…残念でなりません。

 

キャストも良かった。エルファバとグリンダ以外は何の問題もなし。
もちろんその2人が大事なんだけど、ネットにオリジナルキャストのイディナ・メンゼルとクリスティン・チェノウェスをはじめ数多くの動画が溢れている現状で、そのイメージを上書きするのは至難の業。その辺を考慮すると主役の2人もよくやってたと思う。コメディ部分がちょっと弱かったけど、それこそチェノウスと比較されるのはツライよね。

…などと思っていたのですが、実は2回見た内の初回のエルファバ役はアンダーでした。そして、本役のエルファバは素晴らしかったのです!
で、エルファバがアンダーから本役に変わると全体の印象もガラッと変わったわけ。アンダーで見た初回が70点とすると、本役で見た2回目は90点って感じ。減点分はグリンダがエルファバに比べると弱く感じるところ(って偉そうですが)。
でも、そのグリンダもやっぱりいつもやっている相手の方がしっくりくるのか、アンダーと見たときよりも全然良いの。不思議なことに、初回に感じていたマイクバランスの悪さまで2回目はなかったです。
Defying Gravity後の拍手や歓声も前日よりもずっと大きかった。そりゃそうだよね。

そのエルファバ役のJacqueline Hughes、演技部分も良かったし、さらに歌がめちゃくちゃうまい!
動画はシンガポールでテレビ出演した時のDefying Gravity。途中歌詞が飛んじゃってるのが残念ですが、盗撮動画(これもいっぱいある)よりは音もいいので。
これじゃ伝わりにくいけど声量もあって圧倒されたよ!

オリジナルキャストのイディナ・メンゼルとは系統が違いますよね。イディナはロック・ポップス系、ジャクリーヌはクラシック系って感じ。好みもあるしどちらが上ってわけじゃないけど、イディナ系のエルファバしか見たことなかったのでものすごく新鮮でした。

最近、自分の中で出来上がってきた役者の評価基準
「観劇中に、これまでに見た同役の他の役者の事を思い出させない、比較させないほどの説得力を持っているかどうか?」
この点において、ジャクリーヌは文句なし!グリンダ役は悪くないけどそこまででは…でした。
ただ繰り返しになりますが、グリンダはチェノウスの印象があまりに強いからね。ホント仕方ないと思う。

 

観客席の反応も興味深いものがあった。劇中で笑う箇所が欧米と同じなのです。
具体的には、最初エルファバが生まれる場面の”Baby is unnaturally… Green!” の部分や、2幕でネッサが歩けるようになる場面のボックがネッサに別れを告げる部分なんかで笑いが起きる。特に後者はかなり大きくウケていた。
これは結構ビックリでした。BWで見たときも驚いたけど、まあアメリカ人の笑いが日本人と違うのは有名なところ。
今回、客層としては白人客もいましたが大多数はアジア系だったので、やはり香港に住む中国人がメインだと思われます。左右に中国語の字幕も出ていましたし。
同じアジア系だから日本的な感覚なのかなと勝手に想像していましたが、そうでもないみたい。客席の反応は四季劇場よりはBWに近かったですね。

 

内容は日本でも有名な作品なので触れませんが、私がWickedを好きなのは「友情と青春の物語」だから。
善悪とは?というテーマも考えさせられるけど、それ以上にエルファバとグリンダ、2人の友情の物語が泣けます。

 

ちなみに、このツアー2月はマニラ、4月は上海と続きます。上海あたりは行きやすいと思うので是非いかがでしょう?

http://www.broadwayworld.com/article/WICKED-International-Tour-Will-Travel-East-in-2017-20161019

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