The Prom を見に行こう!

      2019/05/04

10/23プレビュー開始、11/15開幕のThe Prom、11/10,11と2日連続で見てきました。
2018-2019シーズンの新作で、現時点でのイチオシ…なのですが、今のところ数字は芳しくありません。

しかし完成度は高くてよくできています。楽曲・ダンス・物語とどれもハイレベルで、かつ扱うテーマがLGBTでちょっと現実社会を考えさせられる側面ありエンタメ一辺倒ではない。現在のBroadwayらしい作品です。

まだ始まったばかりなので、これから見る人の助けになるようにWikiのPlotを元に少し手直ししたあらすじを載せておきます。(完全な訳ではないです)

 

あらすじ

第1幕
ブロードウェイではディーディー・アレンとバリー・グリックマンがメインキャストのミュージカル「エレノア・ルーズベルト物語」のオープニング・ナイトを祝うパーティが催されている。(“Changing Lives”)
そのミュージカルはNYタイムスに「ディーディーとバリーは自己陶酔し過ぎで役を理解していない」と酷評される。2人は自身のイメージ回復を図るため、無私無欲に見えるような「理想」を掲げようと決意。俳優仲間の2人、ジュリアードを卒業したが鳴かず飛ばずでノンイクイティ・ツアーのゴッドスペルのキャストであるトレント・オリビエと、プロデューサーにロキシー・ハート役は無理だと言われ20年続けたシカゴのアンサンブルを辞めたアンジー・ディクソンに声を掛ける。ツイッターでエマの話を見かけた彼らはインディアに行くことを決意する。(“Changing Lives (Reprise)”)
インディアナではエマが深刻ないじめに直面し、「深呼吸よ。みんながみんな冷たいわけじゃない。」と自分に言い聞かせる。(“Just Breathe”)
エマの味方である校長のホーキンスは州検事に相談しており、彼女にうまくいくと信じていると伝える。学校はプロム開催についてPTAと話し合いを行っていた。会議が進む中、ディーディー、バリー、アンジー、トレントがエマをサポートすべく抗議の看板を手に押し入ってくる。ディーディーは自分のためじゃなく屈辱を受けているエマのためであることを主張しながら、そうする自分がいかに良い人間であるかを皆に印象づける。(“It’s Not About Me”)
会議後、エマがプロムに一緒に行きたい子が人気者でカミングアウトはしていないアリッサ、PTA会長の娘であることがわかる。アリッサはプロムが注目の的になったことでエマを責め2人は口論になるが、エマは自分もこんなことは望んでおらず一緒に行きたいだけなんだとアリッサを安心させる。(“Dance with You”)
俳優たちはエマを勇気づけようとパフォーマンスを企画するが、なんとか見つけた場はモンスタートラックのハーフタイムショーだった。彼らはトレントが出演するノンエクイティツアー版ゴッドスペルのキャストと共にパフォーマンスを行う。(“The Acceptance Song”)
パフォーマンス後、州検事は学校はプロムを実施しなければならないという裁定を下す。エマは俳優たちに感謝し、ホーキンス校長とディーディーはアップルビーズでお祝いをする。プロムの実施が決まり、生徒たちが相手に申し込みの儀式を始める。エマは正式にアリッサをプロムに誘い、アリッサはエマと一緒にカミングアウトすることを約束する。(“You Happened”)
アップルビーズでは、ホーキンス校長がディーディーの大ファンで、どれほど彼女に勇気づきられてきたかを語る。(“We Look to You”)
バリーはエマのプロムの準備を手伝い、かつて自分もプロムに行く機会がなかったことを明かす。街では他の生徒たちもプロムの準備をしている。(“Tonight Belongs to You)

第2幕
問題のプロムはメディアの報道合戦を引き起こした。俳優たちはエマにこの事件の顔となり行動起こすよう促すが、彼女はひどく怯えていた。アンジーはzazzの話をしエマを勇気づける。(“Zazz”)
ディーディーは自分のことを身勝手すぎると責めたホーキンスと話をしに戻る。彼女は自身が演じた役の歌でホーキンスのお気に入りのナンバーを披露。周囲の人のことを思いやるよう努力すると誓い、彼と仲直りしようとする。(“The Lady’s Improving”)
トレントは自身の小さな田舎町での生い立ちを振り返り、街の若者たちの考えを変えることができるかもしれないと決心する。大勢の生徒に自分たちや家族が日々の生活でどれほど聖書の教えに背いているか、いかに偽善的かを問いかけ、「汝の隣人を愛そう」という教えを守ることがいちばん大切なんだと訴える。(“Love Thy Neighbor”)
アリッサはエマに会って謝り、母親からの完璧であれというプレッシャーや父が出ていったことで責められることを話す。エマはアリッサの言い分を受け入れることができず、彼女に別れようと伝える。(“Alyssa Greene”)
俳優たちはエマのテレビ出演を手配するが彼女はそれを断り、自分やり方で何が起きたかを広め周囲を変えたいと伝える。エマは計画が成功しすべての人のためのプロムが開けることを信じて、バリーに一緒に行ってほしいとお願いする。遂にバリーの夢が実現することに!バリーは大喜びで引受け、初めてプロムを諦めたときのことを語る。(“Barry Is Going to Prom”)
エマはもがきながらも周囲に受け入れられたいと望んできたけど、自分のことは誇りに思っているしもうコソコソしないという思いを曲にし、ギターの弾き語りをアップロードする。そのビデオに地元をはじめ国中のLGBTコミュニティーが感銘を受け、エマへの激励やビデオメッセージに救われる思いがしたというコメントが寄せられる。(“Unruly Heart”)
ビデオはSNSを駆け巡り、学校は再検討を迫られる。俳優たちはようやくエマもプロムに出席できると期待するが、学校は先のプロムで予算を使い果たしていた。俳優たち全員が寄付をし、中でもディーディーは1万ドルを提供することに。PTAは新しくプロムを実施することに怒りを表明するが、トレントの説得で考えを変えた生徒たちはすべての人のためのプロムを支持すると表明。生徒たちに良い影響を与えたことで、学校はトレントにドラマティーチャー(演劇指導者)の職を依頼。アリッサは学校でカミングアウトし、母親とPTAに反対を断念させる。アリッサの母親は打ちひしがれるがオープンになり娘の話に耳を傾けることに同意する。学校は新しいすべての人のためのプロム、地域のLGBTカップルがジェイムス・マディソン・ハイスクールのストレートカップルと共に参加できるプロムを開催する。エマとアリッサはようやく一緒に踊りキスを交わす。(“It’s Time to Dance”)

 

The Promの魅力

上のあらすじを頭に入れておけば問題なくついていけるはず。
でもまだ迷っている人へ、もう少しだけThe Promの魅力を語ります。

楽曲を担当するのはWedding Singerを手がけたMatthew Sklar(作曲)とChad Beguelin(作詞)。Wedding Singerはポップス調でしたが、今作では高校のプロムにBW俳優が押し掛けるという設定のため、ポップスだけじゃなくダンスミュージック、クラシックBWスタイル、コール&レスポンスと音楽ジャンル的にバラエティ豊かで飽きさせません。
そしてダンス。Promの名に恥じずとにかく踊りまくる。1,2幕共にラストのビッグナンバーはもちろん他にも数曲のダンスナンバーあって、群舞が好きな人にはたまらないはず。
何よりも脚本がよくできているのです。よくできたコメディで新喜劇かというぐらい笑わせにきます。笑って笑って笑って泣いて、ちょっぴり現実世界の問題を考えさせられる。 The Promはそのスタイルも扱うテーマも”BROADWAY”とシアターギークに愛されるタイプの作品であることは間違いないんじゃないかな。

 

細部に散りばめられた小ネタまで楽しもう!

ここからは本当にオタク向け。結構細かいパロディなどがあるのでこれがわかればより楽しめるというエンタメ教養をピックアップ。といってももちろん自分が分かる範囲しか気付けないので見逃しはたくさんあるはずですが…
毎年トニー賞見てる人や海ドラ大好きな人には必要ないし、ある意味ネタバレとも言えるのでこの先は読まずに劇場へゴー!

ちなみに下の写真は、地下のトイレ近くにある写真撮影スポット。プロムだからか?係の人がシャッターを押してくれます。

  • プロム
    アメリカのハイスクールの卒業前に開かれるダンスパーティ、このミュージカルのタイトルでもあるし流石にこれは大丈夫?
  • ミュージカル関係
    トニー賞ドラマデスク賞、共にBWの演劇に関する賞だがそれぞれがどういう位置付けにあるか?と受賞者に送られる記念碑の写真を見ておけばOK。
    ジュリアード学院、音楽と演劇を教える名門校。
    現在もロングラン中のCHICAGOとその演出家であるボブ・フォッシー。他ミュージカル作品ではJesus Christ Sperstar, GodspellとWickedの名前も出てきます。
    Wickedはオマージュになっていると思われるシーンもあり、見たことがあればニヤリとできるかも。(私は他の人の感想を見て気づきましたw)
  • エクイティとノンエクイティ
    エクイティ(ユニオン)は労働組合のことで、BW用語的にはエクイティ資格が必須の舞台とそうでないものを区別する意味で後者をノンエクイティ(略してノンエクの時も)が呼ばれることが多いみたい。BWの舞台は全てエクイティで、ツアー特にセカンドツアー以降はノンエクになることが多いらしい。要はノンエク≒格下とみなされるわけ。ちなみに来日公演は結構ノンエクが多いです。(だから即ハズレってことはないと思いますが)
    これ以上はリンク先でどうぞ。
    https://ameblo.jp/newyorkactor/entry-12423612624.html
  • モンスタートラック
    知らない人も動画を見ておけば劇中の位置付けがなんとなく分かるはず。

  • 手話が出てくる。内容はほとんどの人が理解していないと思いますが、手話だとわからない人がいるかも知れないので。(最初何がなんだか分からなかった自分w)
  • ドラマティーチャー
    https://japan-indepth.jp/?p=3151
    リンク先を読んでおけばいいかな。

 

受賞はともかくトニー賞にも確実に絡むはずなので、賞レースを楽しみたい人には特にオススメ。
ネタバレあり感想はコチラ

 

 - Musical, The Prom