The Music Man

   

今回一番楽しみしていたヒュー・ジャックマン&サットン・フォスターのThe Music Man
期待に違わずエンタメとして最高だったし、古典作品ではあるが意外に今の時代に合わせてきたところもあって良い意味で予想を裏切られた部分もあり、そこも楽しめた。

Playbillよりキャスト表

どうしてもBWでなければ見られない類の作品があると思っていて、その筆頭が今回のThe Music Manのように多数のアンサンブルキャストとオーケストラを起用し、舞台セットや衣装も大掛かりで数を揃えたとにかくお金をかけた超豪華カンパニーだ。2017年のリバイバル版Hello, Dolly!もこのタイプ。BWでさえもこの規模のプロダクションを実現するのは簡単ではないようで、Hello, Dolly!のベッド・ミドラーやThe Music Manのヒュー・ジャックマンのようなミュージカル界のスターではない、更に上の集客力をもつスーパースターの力を借りてようやく実現するものらしい。

2022/5/16−22の週の興行収益

上の図は5/16−22の1週間の売上高上位3作品だが、The Music Manの348万ドルは2位Hamiltonの226万ドルより100万ドル以上多い数字である。Hamiltonも3位Lion Kingの177万ドルに大きく差をつけているわけでとにかく通常のBW作品より圧倒的に稼いでいるわけだ。もちろんヒュー・ジャックマンのギャラも高いだろうがこれなら高額なギャラを払ったとしてもこの大規模カンパニーを維持できるわけだ。その分チケット価格も最高額が597ドル、平均でも283ドルとべらぼうに高いがヒュー・ジャックマンのようなBWファンの外からも客が呼べる看板なしにこの値段では到底売れないわけで、やはりスーパースターの存在は大きい。この金の力で圧倒的な物量を投入するタイプの作品こそ、日本では到底実現不可能だと思われる。

ヒュー・ジャックマンと共演するサットン・フォスターもBWのスターでいつもは主演女優なのだが、ハリウッドスターのヒューと並んでも迫力負けしていないのは流石だった。最初の登場シーンではヒューと同程度の歓声や拍手をもらっていたしね。(流石にカテコでは負けていたが登場シーンを比べると仕方ない)劇場の看板もヒューとサットンは同等の扱いかつ作品名と同じ文字の大きさでならんでいるが十分にその役割を果たしていると思う。(サットンは結構好きなので贔屓目はあると思うw)なんでサットンなの?役に合ってないのでは?という意見も聞いたけど、きっとヒロインをトロフィー的な立ち位置ではなく対等に渡り合える存在として置きたかったのだろうと理解した。そこは再演するに当たっての現代化なのだろう。

セットや衣装についてはベッド・ミドラーのHello, Dolly!と同じく一体どれだけあるんだよ!というレベルでぶち込まれててめちゃくちゃ見応えがある。本編では着ないカテコ用の衣装があるのも共通している。演出についてはHello, Dolly!がおそらくは初演を踏襲した振り付けだったのに対し、The Music Manの振り付けは一新されているように思う。とにかく群舞が多く、流石に数えてないが最低20人はいると思われるシーンが何度もある。いやホント1,2回じゃないのよ。しかもその大半にヒューは出ているのだ。さらにいるだけじゃなくて一緒に踊るわけ。サットンはヒューよりは少ないがそれでも多くの群舞シーンに出ておりどれも迫力があって本当に見応えがあった。同じく再演のFunny Girl同様に50年以上前の作品なのでもっとゆったりした作りを想像していたが、この辺も今の観客というかミュージカルファンではない外から呼んだ観客が見ても古さを感じないように現代化したということなのかも。

映画版を見たのがかなり前であまり内容を覚えていないのだが、楽しみにしていたラストのマーチングバンドのシーンがなく終わって嘘!?と思いきやカテコがそのシーンだった。初演でもカテコ扱いだったのだろうか。76本トロンボーンが出てこなかったのは残念。流石にキャストの数もそこまではいないし当然かw

  • サットンは何をやってもサットンだなとあらためて思った。好きだけどw それでも人気があるのがスターというものなのだろう。
  • 子役がたくさん出ているのも楽しい。子役がいる舞台は無条件で加点w
  • 最初の曲がラップっぽい。軽くググるとラップは1960年代に生まれたらしいがThe Music Manの初演は1957年、さらなるルーツがあるということなのだろうが…実は先進的な作品だったのかも?
  • 男性4人組と女性4人組がそれぞれコーラスグループ的に歌う場面があって楽しい。男性側はアカペラが多くて女性側は歌詞ではなく効果音といえばよいのか♫ディグディグみたいな感じで歌う。ともに何度も繰り返される。
  • 左隣の人が2幕はいなかった。$250以上したはずなのに!
  • 右隣のおじさん(といっても多分年下)がG列なのにオペラグラスを使っていた。日本ではよく見る光景だけどBWでは2Fでもめったに使ってる人見ないから珍しい。そして舞台が収まるように写真を取ってくれと頼まれた。これはたまにある。

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