The Great Gatsby

   

同名小説がミュージカル化されPapermillでのトライアウト公演。
直前に予習のために2013年公開のデュカプリオ主演映画を見た。予備知識ゼロだったが、序盤は主人公であるギャツビーがいっさい姿を見せず、中盤辺りまではどういう物語なのかもよく分からないという展開で結構面白かった。

対してミュージカル版は、なんだか昼メロみたいな演出になっていた。確かに映画版も内容を振り返るとそういう話ではあるのだが物語の語り口が映画とはあまりにも違っており、ミュージカル版は正直微妙な印象だった。映画では物語の語り手として印象の強かったニックが、ミュージカルでは他の登場人物と同じ立ち位置になっていたのもその原因の一つだと思う。

物語の舞台となる1920年代のニューヨークは狂乱の時代などともいわれており、劇場にも時代背景を説明するパネルが設置されていた。映画ではお金をかけたものすごい物量でその華やかさを描いていたが、ミュージカル版では当然音楽で表現する意図があるはずだ。
主人公ギャツビー役のJEREMY JORDAN、ヒロインであるデイジー役のEVA NOBLEZADAは、2人とも抜群に歌が上手いし、その他のキャストも総じて歌唱力は高く、聴きごたえもあり、それはある程度成功しているのかもしれない。とはいえキャストの歌唱力に頼り過ぎで、楽曲自体の印象はちょっと弱いように思えた。作曲Jason Howland、作詞Nathan Tysenの2人は2022年のParadise Squareを手掛けており同作品がとても良かっただけに、そこが残念だった。Jason HowlandはLittle Womenも好きなので楽曲が一番楽しみだったのだけれど。

キャストはJEREMY JORDANはいいとして、EVA NOBLEZADAがちょっと違う気もする。歌の上手さは流石だし相手役のJEREMYに劣るということもないのだが、ルックス的にちょっと地味なのだろうか?Hadestownで見たときのほうが遥かに輝いていたと思う。他のキャストはヒロインデイジーの親友であるジョーダン役のSAMANTHA PAULYが印象に残っていて調べるとSixのKatherine Howard役で見ていた。道理で印象に残るはずだわ。

Papermillで上演される新作はBW入りを目指すトライアウト作品であるはずだが、The Great GatsbyがこのままBWに行けるかというとどうだろう?少なくとも大ヒットはしないだろうなあ。

  • 物語の序盤で描かれる毎週末に行われるギャツビー主催のパーティシーンが映画ではめちゃくちゃお金をかけて描かれていたが、舞台では普通にやるとどうやっても敵わないのでBW上演中のHere Lise Loveのように1F席をダンスフロアーにしてイマーシブシアター的演出にすれば面白そう!などと思っていたら、ミュージカルではないが既に存在するらしい

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