Finding Neverland Musical 映画化決定!?

      2016/05/10

個人的に一番実現性を疑問視しているのが”映画にする”ってこと。

映画ってめちゃくちゃお金かかるでしょうに。
未だリクープすらされていないFinding Neverlandを映画化するといっても資金調達は難しいのでは?
ハリウッド映画としてのミュージカル映画の全盛期は1950年代と言われています。
その後60年代に大作志向になりサウンド・オブ・ミュージック、メリー・ポピンズ、マイ・フェア・レディ、ウエスト・サイド・ストーリーといった傑作も生まれましたが、アクションやSFX映画の台頭とともにミュージカル映画は衰退していったわけです。
それからディズニー・アニメの第2黄金期やら何やらあって、最近はミュージカル映画も復活傾向にあるようでそれは喜ばしいことではありますが、少なくともステージミュージカルの映画化が計画される場合は劇場でヒットしたものがほとんどのようです。

http://www.playbill.com/article/schedule-of-upcoming-movie-musical-adaptations-com-216487

プレイビルに映画化予定のステージミュージカルがリストアップされていますが、ロングラン作品やトニー賞受賞作などが並ぶ中でFinding Neverlandはステージミュージカルとしては格下の作品でしょう。
それにミュージカル映画に限ったことでもないのでしょうが、一向に進まないプロダクションの多いこと!
Wickedなんて何年前から進行中でしたっけ?
ステージミュージカルとしては抜群の成功を収めたWickedにしても、この状態ってことは資金の問題だけじゃないんでしょうねぇ。
LITTLE SHOP OF HORRORSも最終の記事が2012年になっています。
それだけステージミュージカルの映画化は難しいのでしょう。

個人的にはステージミュージカルの映画化だけでなく、たとえ低予算でもオリジナルのミュージカル映画が量産されることを願っています。
それこそMGM全盛期のように。
スタージョンの法則で示されるように、箸にも棒にもかからない作品の中のごく一部のみが良質なわけで、分母がでかくなるほどそこから生まれる傑作もより多くなると考えていますので。

踊るアイラブユー

http://www.broadwayworld.com/board/readmessage.php?thread=1092586&dt=22

broadwayworldの掲示板でもFinding Neverlandの映画についてのスレッドがありました。
以下、そこでの意見の抜粋です。(訳は適当)

  • そのままステージを収録してくれ。映画化より絶対良くなるから。
  • オリジナルのアンサンブルメンバーが出演するならどんなにクソな出来でも見に行くよ。それどころか、多分買ってしまう。
  • ハーヴェイは本当にこのショーを信じているのか?バカジャネーノ。まあ、少なくとも映画ならあの酷いセットを見なくてすむかな。
  • (上の意見に対して)
    どんなプロデューサーだって自分の作品を信じている。もちろんハーヴェイも同じだよ。自分の好みのタイプじゃないからって、それを忌み嫌う奴らを見るのはうんざりだよ。個人的にはハミルトンも春のめざめもクソ。だからってクローズしろとか失敗しろとかは思わない。FNを嫌うのは馬鹿げている。お前らが嫌いで見に行かなくてもFNは素晴らしいジョーなんだよ。他の国のプロダクションにしろ映画にしろ、他のなんであれ大歓迎だね。オレはハミルトンの映画は見に行かないけど、見たい奴がいるなら作るべきだ。
    (この人の意見には激しく同意しておきます。掲示板の#15)
  • ハーヴェイはラリって夢見てんだよ。そりゃオリジナルキャストとアンサンブルの映画は見たいけど、うまくいくとは思えない。
    映画にするなら、上手くいったショーじゃないと。それにみんな原作映画が良かった記憶も残ってるだろ。
  • みんな思い出せよ、ワインスタイン・カンパニーは独立系の映画や、最近だとテレビショーも手がけてる。
    FNの映画はレミゼみたいな大予算な映画じゃないんじゃないか?きっとHBOのAll the Wayとかラスト5イヤーズみたいなインディーズ映画なんだよ。
  • 低予算で上げたいなら舞台を撮るしかないね。それ以外だと最低でも2000万ドルはかかる。ビデオリリースにするにしても、売れるものにするには映画スターが必要。ケルシー・グラマーやマシュー・モリソンはあくまでTVスター。
    ハーヴェイはここ数週間の悲惨なグロスを見て、前売りからもこの流れをひっくり返す自信は得られず、これ以上血を流す前にクローズを決定したんじゃないかな?
    ツアーや映画やブロードウェイへの帰還といったブランド戦略は失敗した作品のお化粧直し。実現するものもそうじゃないものもあるでしょ。
    けど、舞台を撮る以外の映画化は黒字になるわけがない。
  • 今後予定されているTVショー、ダーティー・ダンシングやロッキー・ホラー・ショーを考えてみろよ。グリーやスマッシュでもいい。最近は、低予算で生放送のミュージカルが可能なんだよ。
  • ロッキー・ホラー・ショーの予算は2000万ドル、TVショーでそれだけかかる。それにスマッシュは低予算なんかじゃない。ハーヴェイが自分の金を注ぎ込みでもしないかぎり、映画は実現しない。ハーヴェイは一流のプロデューサーだけど、彼の物事を良くしていこうとする努力は薄っぺらくて下手くそな時がある。(ジェレミー・ジョーダンをマシュー・モリソンに変えるという発表を見た時も同じように思ったんだ。手堅く行くにしてもやり過ぎじゃない?うまくいかないって)
    元の舞台が批評家受けがよくブロードウェイでヒットしていてさえ、ミュージカル映画は金にならないんだよ。最初の投資が赤字になってるのに、投資家がもう一度ギャンプルするとは思えないね。ハーヴェイは本当に映画を作りたいのかもしれないけど、実現するとは思えない。
  • こんなの本気じゃないって。スパイダーマンがブロードウェイで閉幕する時にラスヴェガスプロダクションを立ち上げるっていってたのとおんなじ。フロップ(ミュージカル用語で失敗作)作品はいつもクローズを発表する時にツアーやるって言うだろ?実現したらビックリだよ。
  • ここの意見をまとめると、ハーヴェイほどの成功した経験豊かなプロデューサーがなんで映画化なんて発表したのか?ってこと。この独特のプロジェクトを映画化するにあたり、ほとんど乗り越えられない障害に出くわすことをハーヴェイ以上によく知るものはいないだろうに。
    予算、キャスティング、原作映画の思い出を超えること、などなど。答えはこうだ。もちろんビジネスマンとしてのハーヴェイは映画が実現しないことはわかっている。けどプロモーターとしてのハーヴェイはライセンスビジネスに付加価値となることを知っているのさ。映画化されるかもしれないと思わせることが。自分は無理だとわかっていてもね。ハーヴェイはハーヴェイだよ…

などなど。
まぁ、最後の意見のとおりですかね。
ビジネスのために風呂敷を広げて見せているってこと。
ステージ映像をそのまま残してくれれば嬉しいのですが、ツアーにウエストエンド公演が控えている以上、それもないでしょう。

 

予算面からの実現性を無視するとしても、どういう映画にすれば成功するのか?のイメージが湧きません。

原作映画がジョニー・デップとケイト・ウィンスレットなのに、それに見合うキャストを用意できるの?(それこそ予算が…)
舞台であるからこそ人が人を担ぐフライングが演出として成り立つのであって、映画化すれば空想シーンのフライングは普通に特撮になるのでしょうが、それだと何の魅力もなくなってしまう。
かといって、ダーリング家ベッドルームでの上演は特撮もできないだろうし…
それにクライマックスのアレも舞台でアナログ的な視覚効果であるからこそインパクトがあるわけで、CGで実現しても仕方がない。
さらには第四の壁を破る演出もピーターパンに関しては映画では使えないだろう。

…などなど考えていくと、映画版はステージとはかなり違ったものにならざるをえないと思えます。
もちろん、それがダメで面白くなるはずが無いなどというつもりはありませんが、原作(この場合はステージ)に忠実に映画化するのは難しいってこと。

ま、実現しそうにないからいらぬ心配なのかもしれません。

 

 

 

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